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【PR】ひらめきを生むコツとは? 脳科学者 川島教授に聞いた、脳科学的アプローチ

更新日:2021/09/06

PBLコンテンツとして我々が提供している「キャリア甲子園」は、日本全国5000名以上の高校生が参加している国内最大級のビジネスコンテスト。生徒たちがしのぎを削り優勝を目指す大会であると同時に、より良い教育を提供するためのものでもある。

今回は、参加する生徒たちが高いパフォーマンスを発揮するための参考となるよう、「朝食と脳活動」に関して大塚製薬と共同研究を行っている、東北大学の川島隆太先生に、脳科学的にひらめきを生み出すコツを伺った

【Profile】川島隆太 教授

東北大学 加齢医学研究所所長
脳機能イメージング、脳機能開発研究、認知症予防などをテーマに研究を行い、受賞歴多数。また、「脳を鍛える大人の計算ドリル」やニンテンドーDS用ソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」などの監修活動も行い、脳トレブームを起こした立役者としても知られる。

1.バランスの良い栄養が、集中力アップに効果的

―まず、先生は大塚製薬と共同で行った研究で、「朝食の質で脳活動が変わる」ということを発表されておりますが、こちらがどのような研究か教えてください。

今回の研究発表にあたっては、fMRIという、脳血流の変化を捉える装置を使って、朝食の違いによる作業時の脳活動量に注目して実験を行いました。

私たちが脳を働かせるには、体を動かすのと同じようにエネルギーが必要です。脳には、使ったエネルギーを供給するために、自動的に血流を早くして酸素やグルコースを送り込む働きがあり、脳血流量が多いということは、脳がより活発に動いていると言えるのです。

今回の実験では、このfMRI装置を使い大学生たちを対象に比較的単純な作業をさせたところ、水だけ糖質だけというときと比べて、バランスの良い栄養を摂ったときには、より脳が働く状況になっていたことがわかりました。

逆に言うと、水だけ摂ったときや糖質だけ摂ったときには、脳は十分に働ききれなかったというのが我々の解釈になります。

朝食として接種した3種類の飲み物による、作業時の脳活動量の違いを示したグラフ(資料提供:大塚製薬)

―朝食に注目して実験を行ったのには、どのような意図があったのでしょうか?

日本の食事を見ると、家庭によって一番栄養に差が出るのが朝食だというデータがあります。そうした状況に近づけるために朝食に注目して、実験を行いました。

―脳活動量が高かったということは、集中力が高かったと解釈して良いのでしょうか?

そうですね。今回の実験では、fMRIによって脳の中の前頭前野と呼ばれる部分の血流量が大きく増加したことを確認できました。前頭前野は能動的な注意や意思、意欲に関わる領域で、バランスの良い栄養を摂った時にこの部分がより活性化していたということは、すなわち集中力が高かったと言えます。

2.ひらめきとは何か? ひらめくために大事なこと

―我々がPBL学習の一環として提供している「キャリア甲子園」には、“ひらめき”が重要という話もあるのですが、集中力とひらめきには何か関係はあるのでしょうか?

ひらめきに関しても近年研究が進んでいます。先ほど、集中力は前頭前野の活性化した状態と説明しましたが、ひらめきは、前頭前野だけでなく脳全体が活性化しているときに起こりやすい、ということがわかってきました。

どういう状態かというと、何かに極端に集中しているときと真逆の、ぼーっとしているとき。脳も休んでいるように思われるそうしたとき、実は脳全体が活性化しているようなのです。脳がこのような状態になりやすいのが、日常生活で言うと散歩をしているときやお風呂に入っているときなどです。

―つまり、ぼーっとするのが、“ひらめきを生み出すコツ”と言えるのでしょうか?

そう勘違いする人も多いのですが、それは、ひらめきを生み出すための条件のひとつでしかなく、タイミングとして、ぼーっとしているときにひらめきやすい、というだけです。

ひらめきを生み出そうとするなら、その基礎となる脳力があることが前提となってきます。

―脳力とは、わかりやすく言うとどのような力でしょうか?

脳力にはいろいろな要素がありますが、大きく分けると記憶力と処理速度だと言えます。ひらめきを生み出しやすくするためには、この2つを高いレベルに鍛え上げることが大切。

たくさんの知識が脳の中にあって、それが脳全体でバラバラに素早くやりとりされる。そうした脳の状態になったときに、それまで関連性のなかった知識が紐づいて“ひらめき”が生まれると考えられています。

ですので、まったくないとは言えませんが、記憶力と処理速度を鍛えずにただぼーっとしても、ひらめきは起こりにくいと言えるでしょう。

もちろん、ひらめく脳にするために、睡眠が取れていることと、バランスの良い栄養が摂れていることも忘れてはいけません。

3.脳力を鍛えるシンプルで効果的なトレーニング

―脳力を効率よく鍛える方法を教えてください。

簡単にできることで私がおすすめしているのは読書です。

ジャンルにこだわる必要はないので、好きな本を読んでください。感情も脳に影響があり、楽しい、前向きな、ポジティブな気持ちのときのほうが学習効果は高くなるというデータが出ています。

キャリア甲子園に挑戦する方々に限って言うと、自分たちが問題意識を持っているようなコンテンツを読まれるのが、知識を増やすという観点ではより有意義になるでしょう。

注意点としては、2つ。

活字の横に写真やイラストがあると、とたんに脳の働きが弱くなるので、文字中心のものを読んで頂くと良いと思います。

もうひとつは、本に集中できる環境です。紙の本でもデジタルデバイスでも、脳の働きはほとんど同じであることはわかっていますが、デジタルデバイスの場合、読書中の通知は脳にとってネガティブな効果を及ぼすことが最近わかってきました。通知が来ない専用端末を使うことが必須条件と言えるでしょう。同じように、音楽を聴きながらだったり、テレビを見ながらだったりも、効果的とは言えません。

―読書の効果というのは、どのくらいで出るものなのでしょうか?

1日でも1週間でも効果は出ます。ただ、脳力は積み重ねですので、継続して続けていく方が良いですね。習慣化させれば、どんどん効果が高まっていきます。できる限り週に3日以上、時間を取って読書していただくのがおすすめです。

ただ、ルールやマニュアルを作って取り組むと、それが守れなかったときに止めてしまいがちですので、続けることに重点を置いて、できる範囲で取り組んでみてください。

―脳力をアップしひらめきを生み出すために、まずは読書が有効だということがよくわかりました。

脳を鍛えるという話をするときに、読書というのは攻めだとよく言います。ひらめく脳を作るためには読書がとても大事なことなのですが、一方で睡眠や栄養と言った守りの部分も欠かせません。睡眠を取らないと脳は活性化しませんし、栄養がなければ活性化に必要な栄養が届きません。つまり頑張ろうとしても頑張れない状態になってしまいます。

しっかりと脳を休ませ、バランスの良い栄養を摂り、脳を鍛える。これらの要素が揃っている人に、意図せず降ってくるもの。それがひらめきなのです。

ありがとうございました。

提供:大塚製薬株式会社

     

執筆者:キャリア教育ラボ編集部