学習指導要領が新しくなったものの、どんな内容なのかわからないという人は結構多くいると思います。
学習指導要領の内容も難しかったりして、理解に時間がかかったりしますよね。
・学習指導要領ってどんな風に変わったの?
・内容について詳しく知りたい。
上記のように考える人に向けて、元教員の立場から解説をしていきたいと思います。
3分程度で簡単に読める内容になっていますので、ぜひ見てみてください。
いつから始まる?
まずは、学習指導要領の改訂が始まる時期についてですね。
結論から言うと、小〜高校によって始まる時期が変わってくることになります。
小学校は「2020年から」中学校は「2021年から」高校は「2022年から」の開始となっています。
基本的に学習指導要領は10年周期で新しいものに変わっていますので、先生たちもそれに合わせて新しい授業の準備などを進めていくわけですね。
改訂される理由とは
なぜ改訂されるかということですが、一言で言うと「時代にあった指導」をしていく必要があるからです。仮に何十年も同じ指導をしていたとしたら時代はどんどん変わっていくわけなので生徒に合っていない指導をしていくことにつながりますよね。それでは質の高い教育はできなくなってしまいます。
たとえば、最近ではAIなどもどんどん普及していて、近い将来ロボットに変わる仕事も出てくるといわれています。そんな中で、昔のやり方を続けていたらどうでしょうか。きっと生徒は混乱することでしょう。
そうならないためにも、改訂が進められているのです。
新しい学習指導要領の内容
では、新しい学習指導要領にはどんな内容が盛り込まれているのでしょうか。基本的には、以下の3つになります。
・知識と技能
・思考力や判断力、表現力
・学びに向かう力、人間性
上記の3つをバランスよく育んでいく形になります。3つの目標が制定されたのにはしっかりとした理由があります。それは「学力学習調査」によるものです。記号問題などについては多くの人が答えられていましたが、B問題と言われる記述の問題は正答率がとても低かったのです。これに対してしっかりと自分で言語化したり主体的に表現する力が必要だということで上記が作られた背景があります。
授業の改善についても、基本的には3つの内容をもとに盛り込まれたものとなっているのです。
では、具体的に授業はどんな風になっているのでしょうか。
授業の具体的な変化
学習指導要領の改訂によって、授業も大きく変化しています。
詳しくみていきましょう。
外国語教育
1つは外国語教育ですね。外国語教育は以前からもあったと思います。なので、どの辺りが変わったのだろうか?と疑問に思う人も多くいることでしょう。基本的には、スタートする学年が早まったということになります。外国語活動という形で小学校3年生からスタートしています。本格的なアルファベットなども学習するので、かなり質は高いと考えていいでしょう。また、高校生までには英語でコミュニケーションを取れることを目標にしています。
最近はITなども発達してきているので、場所を問わずに世界中の人と働くことができるようにもなっています。そういった背景を踏まえてより、英語力が必須になっているともいえます。日本の英語教育だと「書く」「読む」が多いような印象がありますが、「話す」「聞く」などの能力についてもバランスよく鍛えていくことになります。
プログラミング教育
小学校でのプログラミング教育の必修化と高校の「情報」が必修化されたことがプログラミング教育の大きな目玉だといえます。プログラミングについては今後の社会でより必要になってくるという意味でも必修化されたものです。
また、そのほかにもプログラミングの学習方法が学習指導要領に合っているというのも理由の1つです。プログラミングは答えが決まっていますが、その答えに向かって自分で試行錯誤しながら進めていく特性があります。時にはエラーが起きてしまい、失敗してしまう場面も多かったりします。
そんな風に手を動かすことが「主体的な学び」になり「思考力や判断力」を養うことにも繋がるのです。指導要領を意識した内容であることは確かでしょう。
理数教育
理数教育にも力を入れています。理系のノーベル賞をとっている人も多くいますので、日本は理数系にもかなり強い国であることがわかります。
特に「観察や実験」に力を入れることとされています。ただ座って理科や数学に関する問題を解くよりも実際に自分で何かを観察したり、実験をしながら発見した方が深い学びに繋がっていきます。他の人から教わるよりも記憶に残りやすいのです。
そして何よりも、自分で実験したり観察する活動は興味が沸きやすいです。生徒が興味を持つことができれば、自然と自分自身で学習を進めていくので、学びに向かう人間性も養うことができるのです。
理数教育を変えることも、改訂の1つとなっています。
道徳教育
道徳については、小中学校での教科化が1つの柱となっています。教科化されることで、教員や児童生徒の意識も大きく変わってきますね。道徳というと、「ルールを学ぶ」という印象を持つ人も結構多くいるかもしれません。しかし、今回の改訂によって「自分がどうするか」というより主体性に重きを置いた内容に変わってきています。
教師が答えを教えるのではなく、生徒同士での議論が深まることにもなっているので、深い学びに繋がっていると考えられます。
道徳の評価をしなければいけないという面も増えているので、教師によっては負担を感じたり戸惑う部分も増えてくると考えて良いでしょう。
伝統教育
伝統教育についても積極的に行われていくのが特徴です。自分たちの国の昔からの内容をしっかりと後世に伝えていくことも担わなければならない分野だといえるでしょう。
国内でも新しいものがどんどんと広がってくると、つい昔の伝統や古いものをないがしろにしてしまったりしがちです。もちろん、時代に合わせて新しいものが登場するのは決して悪いことではありません。しかし、昔から受け継がれている伝統にも良いものがあります。それをしっかりと理解していないことは、ある意味もったいないことでもあるわけですね。
そういった側面からも、伝統や文化についてしっかりと教育をしていく必要性が高まっています。
主権者教育
学生であれば、わざわざ社会に参画する必要はないと感じる人も結構多くいるかもしれません。社会に出るのは社会人になってからだと感じるケースもありますよね。しかし、選挙できる年齢が18歳になっていますし、2022年には成人の年齢も下がってきています。これによって自分たちがより早く社会に参画できるようになっていることが挙げられます。新しく必修の教科である「公共」が作られたことによって社会の中で自分がどのように生きれば良いかを学ぶことができます。
消費者教育
18歳から、何かを購入するときの契約などについても自分たちでできるようになっています。これによってどうなったかというと、消費者の意識を学生のうちから身につけておく必要があるわけです。間違った契約をしてしまったら大変ですね。
具体的な契約の大切さはもちろんのこと、消費者としてトラブルが起こった時にはどんなことができるかなども詳しく学ぶことが可能になります。
学び方について
では、実際にどうやって学習を進めていけば良いのでしょうか。
基本的には、以下の3つの項目を大切にしながら進めていくことが重要です。
詳しく解説をしていきたいと思います。
主体的な学び
まずは、先ほどから挙げている通り主体的な学びを大切にするということです。
誰かから教わるという学習だと深まらないことも多くあります。そうならないためにも自分たちで考えて学習を進めていくことが必要になってくるのです。
授業の終わりには、振り返りの時間なども設けられていたりします。しっかりと授業の最後に自分で考えることで良い学習に繋がっていくのです。
対話的な学び
学習を進めていく上で対話をしていくことも欠かせません。
自分1人で学習を進めていくことも大切ですが、自分だけの価値観になってしまい学びが広がらないケースがあります。
そんな時に、他の人のアイディアをたくさん聞くことでより良い学びに繋がっていくケースがあります。友達どうしで話し合う活動やグループワークなどが実際の授業でも取り入れられたりしています。
深い学び
深い学びについては、基本的に「アクティブラーニング」の視点から授業の改善を行っていきます。勉強について「つまらない」と感じている人もいるでしょう。
そうではなく、学ぶ人がしっかりと理解ができて「面白い!」と思えるような授業に改訂を通して変わっていくということです。
まとめ
学習指導要領の改訂によって、見直された部分はとても多くあります。
今回の記事を参考にしつつ、指導に生かしてみてはいかがでしょうか。