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探究学習指導の上で教員も知っておきたいトピックス(テクノロジー編)

更新日:2025/10/29

テクノロジーと聞くと、「難しそう」「理系じゃないと関係ない」と感じる高校生も多いかもしれません。でも実は、AIやアプリ、SNS、ゲーム、ロボットといった技術は、日々の生活、学校、将来の働き方と深く関係しています。総合的な探究の時間では、そうした「身近な技術」と「社会の課題」をつなげて考えることが、今と未来を見通す良いトレーニングになります。
この記事では、2025年現在の話題をもとに、高校生が扱いやすく、親しみやすいテクノロジーに関する探究テーマを3つご紹介します。先生方の授業の導入やワークシート作成の参考にもどうぞ。


① 「AIで変わる学校生活」– 勉強・進路・人との関係にどう影響する?

最近では、ChatGPTなどの生成AIを学校でも使う場面が出てきています。例えば、英作文の添削、プレゼンの構成づくり、レポートの下書きなどにAIを活用する高校も増えています。一方で、「カンニングになるのでは?」「自分の考える力が弱くなるのでは?」という不安の声も。
さらに、Yahoo! JAPANでは、社員1万1,000人に生成AI活用を義務化し、生産性2倍を目指すと発表しました(2025年9月)。

生徒への問い例

  • 学校でAIを使ったことがある?それは勉強にどう影響した?
  • もし「生成AIの使い方にルールを作る」としたら、どんなルールが適切だろう?
  • AIを使う・使わないで「学ぶ力」「考える力」「人との関係」はどう変わるだろう?

教員向けヒント

  • 情報Ⅰと総探を横断し、「AI活用の長所とリスク」を議論するワークも有効。
  • 生徒自身に「自分のAI使用ガイドライン」を作らせると、主体的なルール意識が育ちます。
  • 学校外でもAIがどう使われているか(仕事・家庭など)を調べさせると、社会との接続が深まります。

② 「SNS・動画アプリの“おすすめ”は誰が決めてる?」– アルゴリズムと情報の偏り

TikTok、Instagram、YouTubeなどのSNSや動画アプリでは、なぜか「似たような動画ばかり」「自分の好きな世界に偏ってしまう」ことがあります。これは、アプリが「あなたに合いそう」と判断した投稿を自動的に表示する**“アルゴリズム”**によるものです。便利な一方で、意見の偏りや、ニュースの誤解、過剰な自己承認欲求につながることもあります。

生徒への問い例

  • 自分のSNSに表示される情報は、何によって選ばれているのか?
  • 「おすすめ」に任せていたら、どんなリスクがあると思う?
  • SNSで「社会問題」を見たことがある?それは正しい情報だった?

教員向けヒント

  • 「SNS上のバズったニュース」を例にして、事実確認の大切さを考えるワークが有効。
  • 探究テーマとして「10代向けの情報リテラシー教材」を作らせるのも実践的。
  • 情報Iとの連携も意識しつつ、マーケティング視点(“どう広告が届けられているか”)にも触れると良い。

③ 「コンビニやバスが“無人”になるって本当?」– ロボットと共に生きる未来

2025年、日本では人手不足を背景に「自動運転バス」「無人店舗」「配膳ロボット」「AI店員」などが現実に広がりつつあります。たとえば東京都では、夜間に無人配送車がコンビニへ商品を届ける実証実験が始まりました。また、ファミレスではロボットが料理を運ぶのが当たり前の光景に。

これらの技術は便利ですが、「仕事がなくなる?」「地域で受け入れられるの?」という不安の声もあります。

生徒への問い例

  • 自分の地域で“無人化”や“自動化”が進んでいる場所はある?(例:駅・スーパー・図書館など)
  • ロボットと人間がいっしょに働くには、どんな工夫が必要だろう?
  • 自分がサービス業でバイトするとしたら、ロボットがいたら助かる?困る?

教員向けヒント

  • 地域の商店・図書館・公共交通などを調査対象に設定すると、身近な取材型探究が可能。
  • 技術導入の長所・短所をロールプレイ(市長/商店主/高校生など)で議論させると多面的に。
  • 将来の職業選択との接続も意識し、「どんな仕事が増える/減るか?」をテーマに進路意識も高められます。

まとめ

今回ご紹介したのは、高校生が“自分ごと”として考えられるテクノロジー課題をテーマにした探究アイデアです。

テーマ主なキーワード社会との接点
AIと学校生活ChatGPT、学び、ルールづくり教育、働き方、生成AIの活用
SNSと情報の偏りアルゴリズム、バズ、リテラシー情報社会、広告、表現の自由
自動化と地域の未来無人店舗、ロボット、職業変化地域経済、雇用、技術受容性

テクノロジーは「難しいから敬遠されがち」ですが、“身近な生活”にあるテーマからスタートすることで、生徒の興味関心は一気に高まります。探究テーマとして取り上げる際は、「問いが立てやすく」「調査対象が身近で」「発表で意見が分かれやすい」構成にすると授業が活性化します。

     

執筆者:Strobolights