キャリア教育コラム

プログラミング的思考とは?新学習指導要領でも注目されるプログラミング教育

更新日:2018/09/10

内閣府が2016年に公表した「日本再興戦略2016」及び文部科学省が2018年に公表した「2020年新学習指導要領」において教育現場にICT(Information and Communication Technology(情報通信技術))を活用した教育の導入、プログラミング教育の導入について記載があり、小学校では2020年、中学校では2021年、高校では2022年に導入開始と時期も明示されています。小学校においてプログラミング学習の主軸は「プログラミング的思考の習得」とされていますが、プログラミング的思考とはどのような思考を指すのでしょうか。プログラミング教育の大枠から解説していきます。

プログラミング教育とは

文部科学省の「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方」によるとプログラミング教育について以下のように記しています。

“コンピュータをより適切、効果的に活用していくためには、その仕組みを知ることが重要です。コンピュータは人が命令を与えることによって動作し ます。端的に言えば、この命令が「プログラム」であり、命令を与えることが「プログラミング」です。プログラミングによって、コンピュータに自分が求める動作をさせることができるとともに、コンピュータの仕組みの一端 をうかがい知ることができるので、コンピュータが「魔法の箱」ではなくな り、より主体的に活用することにつながります。”

引用元:文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」平成30年3月

これからの時代はコンピューター、システムを介した活動がメインになっていく中でそもそもコンピューターのシステム開発や命令を与えることができなければ、活用することができなくなってしまう。その技術やノウハウを学ぶことを大きなくくりでプログラミング教育とすると解説しています。

(補足)プログラミングとは

プログラミングという言葉についてフリー百科事典のウィキペディアでは以下のように解説しています。

“コンピュータのプログラミング(英: programming)とは、コンピュータプログラムを作成することにより、人間の意図した処理を行うようにコンピュータに指示を与える行為である。”

引用:フリー百科事典ウィキペディア「プログラミング」

なぜ教育現場に導入が推奨されているのか

政府はどのような目的を持ってICTを活用した教育に力を入れることを定めたのでしょうか。「日本再興戦略2016」によると「アベノミクス」の成長戦略に掲げた「名目GDP 600兆円」を達成するためとして、今後数年の時期を「第4次 産業革命期」と考えています。GDP600兆円を達成するためには全ての市場、環境においてIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、ICTの活用は不可欠であり、かつそれらを使った事業、活動を先導していける人材の育成が急務であるとしています。よって子供の頃からIoT、ICTを活用した教育、IoT、ICTに通じた人材の育成を重点施策として教育現場への導入に至った経緯が読み取れます。

小学校教育におけるプログラミング的思考とは

文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引き」には学校の段階ごとに学ぶべきプログラミング教育を以下のように記しています。

参考 有識者会議「議論の取りまとめ」(抜粋)
(小)身近な生活でコンピューターが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと。
(中)社会におけるコンピューターの役割や影響を理解するとともに、簡単なプログラムを作成できるようにすること。
(高)コンピューターの働きを科学的に理解するとともに、実際の問題解決にコンピューターを活用できるようにすること。

引用:文部科学省「小学校プログラミング教育の手引き」

プログラミング的思考とは

同じく手引きの中で小学校教育時に身につけるべきプログラミング的思考について、以下のように記載があります。

”自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力”

また具体的にコンピューターを動作させるための手順として下記のような例も記載があります。小学校の段階で、これらの手順を理解し活用できる力が求められています。


引用:小学校段階におけるプログラミング教育のあり方について

思考の基礎としてのプログラミング的思考

プログラミング的思考は単にプログラミングの仕方を学ぶということだけではなく、考え方の手段の1つ、思考法の1つでもあります。ロジカルシンキングや論理的思考と通じる考え方で、その思考の過程にプログラミングで解決できるという選択肢やプログラミングの考え方が応用できることを身につけるところが重要な点にあると考えられます。活用例としてプログラミング的思考を用いた論理的思考、プログラミング的思考を用いたロジカルシンキングのような使い方になり、同じ目的を達成するための数ある手段、手法の中から最適な方法、手段を導き出すことができる思考方法の一つと言えるでしょう。

 

まとめ

これからの時代においてプログラミングの知識やスキルは必須の技能と言えます。諸外国では幼少期からのプログラミング教育をすでに導入しているところが多く、日本は後塵を配している感もあります。政府主導で制度を進めることと同時に、より質の高い教育をどのように生徒たちに与えることができるかが、学校、教員に求められている課題とも言えるでしょう。未来に活躍できるIT人材を育てるため、早期の取り組み開始と、積極的な機会活用が望まれています。

     

執筆者:キャリア教育ラボ編集部