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クリティカルシンキングはどう教える?効果的な指導案の考え方

更新日:2020/10/26

近年、教育現場でもよく聞くようになったクリティカルシンキング。言葉自体は耳にする回数が多くなってはいるものの、クリティカルシンキングの重要性や教育・指導方法、教育現場での事例などについては聞いたことがあるでしょうか?今回は、クリティカルシンキングを深掘りしていきます。

 

クリティカルシンキングの意味や重要性とは?

深掘りする前に、クリティカルシンキングそのものについて振り返っておきましょう。クリティカルシンキングは直訳すると「批判的思考」です。批判と聞くと攻撃的なニュアンスが感じられますね。しかし、クリティカルシンキング・批判的思考という言葉は、定義や基準などにしたがって注意深く考えてみる、一度疑いながら考えるといった意味を持ち、感情だけに踊らされない建設的な議論のために用いられる考え方です。

 

クリティカルシンキングが重要となってきている理由の1つに、世の中に情報があふれていることが挙げられるでしょう。IT化が進んでSNSも身近なサービスになり、情報が得やすく、意見を簡単に表明できる時代になりました。ただ、フェイクニュースという言葉が聞かれるように、世の中には根拠のない情報もあって、フェイクニュースをもとにした意見表明も散見されます。そんな中で正しいと思える、信用できる情報を取捨選択できるメディアリテラシーが必要となってきていますし、他者の意見を吟味する必要性が高まっています。クリティカルシンキングは、大量の情報から真に正しいと思える情報や意見を選ぶために必要な思考だと言えます。

 

また、クリティカルシンキングは新しいアイデアを生み出す際にも活かせるでしょう。世の中をあっと驚かせるアイデアというのは、私たちの固定観念を根底から覆すものです。例えば、日本でガラパゴス携帯が主流だった時代に、携帯電話はガラケーのようなキーボード付きのものが当たり前だと考えて疑わなかったからこそ、タッチパネルの携帯電話、スマートフォンなんてものを思いつくことがなかったのではないでしょうか。自分の中にある「当たり前」を疑わなければ、そのような斬新なアイデアは出てきません。こういった点から、クリティカルシンキングは真新しいものを生み出す際に役立つと言えるのではないでしょうか。

 

国が提示するクリティカルシンキングの指導指針とは?

さて、クリティカルシンキングの意味や重要性について見ていきましたが、ここからはどのようにクリティカルシンキングを指導・教育していくかについて触れるために、国の方針を見ていきましょう。文部科学省は、言語活動の充実という大きな目標を達成させるための指針の中で、論理や思考といった知的活動に関する指導についてまとめているのですが、そこでクリティカルクリティカルシンキングの指導について触れられています。知的活動に関する指導については、以下の4つの観点を重視しています。

 

 

(1) 事実などを正確に理解する

(2) 事実などを他者に的確にわかりやすく伝える

(3) 事実などを解釈し、説明することにより自分の考えを深める

(4) 考えを伝え合うおとで、自分の考えや集団の考えを発展させる

 

 

この中でも特に(3)の観点にクリティカルシンキングが関連づけられています。(3)にかかる具体的な指導の留意点としては、次の3点のポイントがあります。

 

 

(a) 事実等を知識や経験と結び付けて解釈し、自分の考えを持たせるようにすること

(b) 自分の考えについて、探究的態度をもって意見と根拠、原因と結果などの関係を意識し、説明する際にはそれを明確に示すこと

(c) 自分の考えと他者の考えの違いをとらえ、それらの妥当性や信頼性を吟味したり、異なる視点から検討したりして振り返るようにすること

 

 

特に(c)にクリティカルシンキングと直結していると言えますね。自分と他者の意見の間の違いを見つけ、その違いを理解する機会の提供が重要なようです。

 

クリティカルシンキング教育の事例

さて、ここまでクリティカルシンキングの指導についての国の指針を紹介したところで、ここからは実際の教育事例を取り上げます。今回紹介するのは、滋賀県立膳所高等学校です。この高校は教育的目標の1つに、「生きる力」とされる課題発見・探究・プレゼン能力の育成を挙げていることもあって、1年次の「探究」という情報と総合的な学習を融合した教科の設定など、様々な取り組みをしています。そんな中で、クリティカルシンキングを実践する教育実践例の1つとして、現代文の評論における批判的読解の指導を実施しています。この授業の進め方としては、まず事柄や論理を読み取った後、テキストへの反論や著者の立場からの再反論を実施したり、論理の構成などを検討して分析的・批判的に読解していきます。

 

そして、68人の小集団による討論や相互批評を実施して相互作用を醸成した後に、クラス全体への批判的な読解の共有を実施します。この学校では、この現代文だけにクリティカルシンキングの指導を取り入れているわけではないので、この現代文のおかげだと言い切ることはできません。しかし、この学校では学年が上がるにつれて、思い込みやおかしなところがないか考えるなどの批判的学習態度を自己認識する生徒の割合が高まっています。こういったクリティカルシンキングを求める教育が、生徒の変革・成長に寄与していると見ていいのではないでしょうか。

 

最後に

ここまで、クリティカルシンキングの意味や重要性から指導・教育について見てきました。先ほど取り上げた実践例のように、普段の教科学習の中にもクリティカルシンキングの指導は取り込むことができます。学習指導要領や大学受験の方式の多様化や共通テストの変革など、求められる教育が日々変化していて教育関係者にとっては対応に苦慮する部分も多々あると思いますが、普段のちょっとした活動からクリティカルシンキングの導入などの変革を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

参考資料

楠見孝『中央教育審議会高等学校教育部会 批判的思考について これからの教育の方向性の提言

滋賀県立膳所高等学校『学校案内パンフレット』

文部科学省『学習指導要領「生きる力」 第2 言語の役割を踏まえた言語活動の充実』

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執筆者:キャリア教育ラボ編集部