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問題解決型学習と課題探求型学習の違いとは?

更新日:2021/02/01

教育改革の必要性・重要性を耳にすることが多くなり、長く漢字が続く単語やアルファベットの略語をよく聞くようになりました。どのワードが何を示すのか、少し混乱してきた方も多いのでは?今回は、ややこしい教育ホットワードの中でも問題解決型学習(課題解決型学習)課題探究型学習をピックアップし、違いを解説します。

 

問題解決型学習(課題解決型学習)とは?

まずは問題解決型学習(課題解決型学習)の方から見ていきましょう。問題解決型学習(Problem Based Learning)は、実生活で直面するような問題・シナリオの解決に取り組みながら、問題解決の能力や姿勢を養う学習のことです。教科書に沿って授業を進め、内容を暗記してテストで定着度合いを測る伝統的な教授学習では、知識を実生活に関係づけることのないまま獲得する活動が行われがちです。この従来の教授学習に代わる学習スタイルとして取り上げられるようになったのが、問題解決型学習なのです。

 

では、問題解決型学習についてもう少し詳しく見ていきましょう。まず、問題解決型学習の肝となる実生活で直面するような問題・シナリオは、しばしば教師側から提示されることが多いのが特徴です。また、その問題やシナリオというのは、「今」身の回りで起こっている身近な問題が多いということも特徴と言えるでしょう。さらに、学習が行われる場所や時間の点で見ると、教室内において学期を跨がない時間的長さで行われることが多いことも特徴で、通常の教科学習において教授学習に代わって用いられやすいスタイルと言えます。

問題解決型学習(課題解決型学習)の実践例

問題解決型学習の特徴を抑えたところで、実践例を1つご紹介しましょう。

 

甲南大学の「教育の方法技術」という講座では、大学3,4年生の教職科目受講者を対象に、教師に必要なICTスキルの習得に加えて問題解決力などを養う目的で、問題解決型学習が実施されました。

 

具体的には、「最近の高校生は学習意欲が低下している」という問題に対して、学習意欲向上を促進する教材の制作によって解決を試みたというもの。大学生が実際に様々なソフトウェアを活用して、科目テーマに合わせた教材を提案しました。この講座を通じて、大学生の問題発見解決や自己学習、情報リテラシーや対人技能の項目で、従来の講座よりも高い学習効果を発揮したことが明らかになりました。

課題探究型学習とは?

先ほど、問題解決型学習について触れていきましたが、ここからは課題探究型学習について取り上げていきましょう。課題探究型学習(Project based Learning)は、課題の発見と解決のために主体的・協働的に学ぶ学習のことです。

 

これはいわゆるアクティブ・ラーニングが指す学習のことで、日常生活や社会に目を向けて学生が自ら課題を設定することから始まります。課題を設定した後は、課題を紐解くのに役立つような情報を収集して整理・分析し、それらをまとめて表現することが求められます。この過程を通じて自らの考えや課題が新たに更新されて、また新たな探究の過程につながります。

 

ではここで、先ほど取り上げた問題解決型学習との共通点や相違点を見ていきましょう。共通点としては、身の回りのテーマを扱い、問題解決を図ることは同じと言えます。一般的な教科学習とは違って学習は学生自身が主導して行われ、かつ1つの決まりきった正解がないために、同じような課題設定でも学生によってアウトプットの結果が異なるという点も似ています。

 

しかしながら、問題解決型学習との違いとして、課題探究型学習は解決しようとする問題の設定が学生自身によって行われる点が挙げられます。また、その問題もより未来志向の社会的な課題解決であることが多いのも特徴でしょう。さらに、学習が行われる場所や時間の点で見ると、教室内にとどまらず図書館や地域、実践現場など、広い範囲で学習が行われることが多く、学期を跨いだ長期間の学習となることが多いことも特徴と言えます。

 

この時間の長さという点で考えると、課題探究型学習は通常の教科学習において、教授学習に代わって用いられやすいスタイルとは言えません。ただ、ある程度長い時間をかけて学習が進むので、その期間の中で先に述べた問題解決型学習が行われる可能性があると思われます。

課題探究型学習の実践例

ここまで、課題探究型学習についてまとめてきましたが、ここで課題探究型学習の実践例を1つご紹介しましょう。

 

北海道の滝川高等学校の普通科では、1年次に探究活動に必要な基本的な技能を習得するための「探究基本ドリル」というものを実施し、課題発見や課題解決の手法を学ぶ機会を整えた上で、探究学習に取り組んでいます。SDGsという社会的にもホットな話題をテーマに1年次で個人の探究活動を行い、2年次ではグループで課題を設定して探究活動を行なっています。併設されている理数科では、数値や情報の処理技能や英語でのプレゼンテーション技能を学ぶ機会が提供され、ポスター制作や研究論文の執筆なども実施しているそうです。

 

余談になりますが、問題解決型学習も課題探究型学習もどちらもPBLと略されます。ただ、問題解決型学習が課題探究型学習の中に組み込まれるという図式からか、PBLとして一般的に指す言葉は課題探究型学習の方が多いのが実情です。ここでは紹介しませんが、他にもたくさんの教育機関で取り入れられていますので、気になった方は他の教育機関での事例も見てみてください。

まとめ

今回は、問題解決型学習(課題解決型学習)と課題探究型学習について、共通点や違い、事例についてご紹介してきました。両方の学習スタイルに共通していましたが、知識を単に入れ込む教育ではなく、いかに実生活とリンクさせて、どこまで諸問題の解決に活かせるかがこれからの教育のポイントになりそうです。

 

実際、大学受験でも総合型選抜でより知識だけでなく思考力や表現力が求められる受験方式になっていたり、共通テストでもより身近なテーマの出題が目立っていました。そんな中で今後は、ますます問題解決型学習や課題探究型学習の重要性が強まっていくでしょう。

参考資料

井上明、金田重郎「PBL(Problem Based Learning) 問題解決型授業事例報告」

上越教育大学「平成28年度総合的な教師力向上のための調査研究事業実施報告書」

中央教育審議会「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)」

奈良教育大学 次世代教員養成センター「課題探究型学習(アクティブ・ラーニング)の構想と展開」

北海道教育庁学校教育局高校教育課「探究的な学習活動の実践事例集」

     

執筆者:キャリア教育ラボ編集部