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【職場体験】生徒の経験をより充実させるには

更新日:2023/06/01

小学校や中学校だけではなく高校においても、職場体験は勤労観や職業観を育む体験として重要視されています。教室の中だけで学ぶのではなく、職場で仕事や人との関わりを経験することで、学習や働くことの意義をよく理解できるからです。

しかし実際は、職場体験を実施する上での課題が多いですよね。
・忙しくて職場体験に向けた準備が十分にできない
・職場体験先が毎年限られている
・生徒のモチベーションが低い

このような悩みを抱えている先生も多いのではないでしょうか。

この記事では、高校での職場体験をより充実させるためのアイディアを3つご紹介!実際に私が教員時代に感じたことや、文部科学省の資料を元に解説していきます。貴校での職場体験学習の悩みが、少しでも解決すれば幸いです。

高校が抱える職場体験の課題

高校が抱える職場体験の悩みや課題は多いです。

文部科学省の「効果的な職場体験の在り方」という資料の中に、”教師は、職場体験の受け入れ事業所の確保が困難であることを指摘している”という記載があります。

多くの場合は学校が主体となって職場体験先の確保をしており、受け入れ先の確保に課題を抱えているという現状。小さな町では企業自体も少ないので、受け入れ先を探すのは本当に苦労しますよね。

また、日々の仕事が忙しくて、職場体験に向けた指導に十分に取り組めていないという課題も想定されます。
実際に私が中学校で勤務をしていた時に、職場体験の一環として高校生を受け入れたことがあります。

私が主に担当したのですがその高校生は、
・体験したいことが明確ではない
・質問等も特にない

このような状況で来校し、驚きました。

どのような事前指導があったのかはわかりませんが、受け入れた側としては「もっと生徒が体験を通してやりたいことが明確だったら、指導しやすいのに。」と思ってしまいました。

この体験の振り返りから、事前・事後指導の時間や、先生が指導の準備に使える時間が少ないという課題があるのではないかと感じています。

今回は、このような課題があることを念頭におき、高校での職場体験がより充実するための対策をご紹介します。

高校の職場体験改善①:体験先の選択肢を充実させる

1つ目に紹介する高校の職場体験をより充実させるためのアイディアは、「体験先の選択肢を増やすこと」です。

職場体験を実施する上で「体験先の確保が難しい」という課題がありますが、選択肢を増やすことは、子ども達の体験が充実するかどうかに大きく関わります。

自分が体験したい職場が選択できれば、参加するモチベーションが上がり、将来のために質問したいこと等も自然に浮かんできますよね。

「この仕事は自分に合っているのか」を考える等、充実した職場体験になること間違いなしです。

一方で全く興味のない場合や、苦手意識がある仕事を体験する場合は、主体的に行動するのが難しく「早く体験が終われば良いのに」というネガティブな気持ちになってしまう生徒もいるでしょう。

そのため、できる限り職場体験先の選択肢を増やすことは、体験を充実させる上で大切です。

学校だけで職場体験先を確保するのが難しい場合は、職場体験への協力体制を構築するのも1つの方法。

例えば、保護者の協力を得て体験先を紹介してもらったり、「職場体験組織委員会」を設置して、行政や地域の体験先の関係者を交えて体験先の確保をしたりしている学校もあります。

文部科学省の資料には、”企業側が教育支援活動を行わない理由として、学校側からの企業への支援要請がないことを4割近くの企業が挙げているという調査結果がある”と記載が。

職場体験を受け入れてくれる企業へ働きかける仕組みを作り、子ども達の選択肢を増やすことで、より充実した職場体験を実施することできるでしょう。
仕組みを1度作ってしまえば、教員の負担も減らせるので一石二鳥ですね。

高校の職場体験改善②:生徒主体の活動にする

次に紹介する職場体験をより充実させるためのアイディアは、「高校生を主体に活動を進めること」です。

生徒が自ら体験活動を進めることで「やらされている体験」から、「自分で選択して行う体験」に変わり、主体的に参加できますよね。

例えば、体験先の確保から生徒に任せることも可能
生徒自身が保護者や地域の方の情報を頼りに、自分が行きたい体験先を見つけ、依頼をする方法です。
学校側のサポートは必要になりますが、依頼業務の負担軽減と生徒の自主性が育つというメリットがあります。

その他にも、体験先確保のために保護者の支援が得やすい等という利点もあります。小学校、中学校の職場学習や体験の経験がある高校生なら、今までの経験を活かして行動できるはず。

事前指導をしっかり行うことで、生徒が主体となって行動する職場体験が実現可能です。

高校の職場体験改善③:事前指導を充実させる

「体験先の選択肢を増やすことが重要なのはわかるけど、小さな町だから難しい。」
こんな場合に大切にしたいのが、「事前指導を充実させること」です。

事前指導を充実させると、体験先の選択肢が少ない場合でも、生徒の体験をより良くすることができます。

事前指導は、
・進路意識の向上
・自分の適性理解
・将来の設計

など、進路指導をする上で重要な役割を担っています

自分の将来設計ができていたり、適性を理解できていたりすると、「希望には合致しないけれど将来に役立つ体験ができる職場」を選べますよね。

生徒が希望する体験先がなくても、
・実際に社会で仕事を体験することの意味
・体験先の仕事と将来の夢との繋がり
・体験が自分の抱える課題を解決するきっかけになること

このような「職場体験の意義」を理解することで、生徒たちが体験に向かう気持ちは変わってきます。

事前指導をしっかり行うことで、体験中はもちろん、事後学習でも体験を活かすことが可能。
「自分の将来に活かせると思って参加したら、こんなことが学べた!」
「自分はこんな悩みを抱えていたけれど、職場体験での挑戦を通して少し自信を持てた!」
このような情報が共有できたら、クラスメイト同士で学ぶことも多いですね。

高校での職場体験をより充実させるために、生徒たちがしっかり将来の設計ができて、職場体験の意味を理解できる事前指導が欠かせません。

生徒が将来について考えられる効果的な職場体験を

今回は、高校での職場体験がより充実するための方法を3つ紹介しました。
・体験先の選択肢を充実させる
・生徒主体の活動にする
・事前指導を充実させる

職場体験は地域や企業との連携が不可欠なので、より良いものにするには時間も労力も必要かもしれません。

しかし、キャリア教育の中でも大きなイベントであり、自分の将来を考えるきっかけにもなる職場体験。
職場体験活動が生徒にとってより良いものになるように、改善していきたいですね。

3つのアイディアのどれかが、貴校のキャリア教育実践の参考になれば幸いです。

     

執筆者:Strobolights