前回の記事で、探究学習のメリットについて、生徒と教員の立場で整理しました。探究学習はこれからの時代に即した効果的な学習方法です。
ただ一方、これまでの教育と異なる点も多いため注意した方が良い点もあります。今回は探究学習の効果は十分に認めた上で、注意したいことをまとめています。ぜひご覧ください。
探究学習のデメリットは変化と負担が大きい
探究学習は学校現場で大きな変化があり、それに伴って生徒も教員も負担が大きくなります。これも前回同様、生徒と教員のデメリットに分けて考えてみましょう。
生徒側のデメリット
生徒側のデメリットは主に2つです。
①勉強の時間が短くなる
②進路に直結しない
①探究学習では課題を見つけることが大変だったり調査をすることに時間がかかったりします。それらは授業時間内ですることは難しい場合もあり、自分で時間を作ってする必要があります。ただでさえ部活や塾で時間がないため、より時間を削ることで勉強の時間が短くなるというデメリットがあります。
②探究学習は必ずしも進路に直結しないというデメリットがあります。なぜなら入試では関係ない科目だからです。AO入試や推薦入試で評価するところも最近は増えていますが、一般入試の場合では探究学習での成果は反映されません。そのため生徒自身も入試に直結しないならとモチベーションが上がらないということもあります。
教員側のデメリット
教員側のデメリットは2つあります。
①授業が難しい
②外部人材とつながりがないと難しい場合がある
①探究の授業は教科の授業とは異なり、指導が非常に難しいと言われています。
というのも進め方の答えも無ければ、先生も経験がないことを授業で扱うためです。また生徒もやる気がない場合が多いため思ったように進まず授業内容を変更することがよくあります。
②外部人材とつながりがないと先生だけで授業を進めることになります。その場合は探究学習で大切な「協働」が出来ずに効果が半減してしまいます。また形だけの調べ学習のような探究学習とは言えないようなものになってしまうでしょう。
卒業生とネットワークがあり、依頼すれば協力してくれるような繋がりがあれば別ですが、そうでない場合は担当教員の属人的なつながりに頼ることになります。民間企業に依頼することも可能ですが、そうなると高い予算が必要になります。
教員にとって最大の困難は身内にあり?
学校によって状況はさまざまですが、探究学習の指導教員の最大の課題が「校内の理解が得られない」場合もあります。
探究学習の担当教員は懸命に頑張られていても、他の教員が理解を示してくれずあまり協力してくれない、もしくは担当教員に丸投げをしてしまっている、という状況は珍しくありません。
前述した通り、探究学習は指導の難易度も高い学習方法です。先生一人で学年全体を見ることも難しいため、どうしても他の先生方の協力が不可欠になります。探究学習に意欲的で使命感をもつ担当教員ほど、校内の理解の得られないとお一人で奔走することになり、疲弊してしまう、、ということも起きてしまいます。
探究学習は絶大な効果が期待されるが課題も多くある
探究学習は予測不可能な社会を生きるために、「自ら学び・考える力」を身につけることを目的としています。探究学習には高校生はもちろん教員にとってもメリットがある反面、デメリットもあります。生徒にとっては、課題解決能力やコミュニケーション力が身につけるなかで自信がつくが、デメリットとして、時間が削られることや進路に影響しにくい点です。
教員にとっては、外部と協働で進めることで負担を減らしたり伴走するスキルが身につきます。その一方で外部連携がないと授業の実施難易度が高くなるというデメリットがあります。デメリットにあげられる課題を解決していくのがまさに「探究学習」です。生徒だけでなく先生も学ぶ姿勢を持って進めていけば必ず生徒の学びが最大化された探究学習になると思います。
ぜひ探究学習のメリットとデメリットを参考にしてどのように実施していくかを考えてみてください。