キャリア教育コラム

探究学習指導の上で教員も知っておきたいトピックス(社会課題編)

更新日:2025/08/15

文部科学省の学習指導要領改訂により、「総合的な探究の時間」が必修化され、生徒自身が興味あるテーマを設定し、課題発見~調査・分析~発表を通じて学びを深めるスタイルが求められています(文部科学省)。しかし、探究の出発点となる「社会課題」をどのように選び、教員としてどう支援すればよいかは、多くの先生方が悩みどころです。そこで本記事では、高校生にも扱いやすく、かつ社会的意義や探究の広がりがある3つの社会課題を紹介し、それぞれのテーマ選びのポイントや教員の視点からのヒントをお伝えします。

気候変動と資源循環(SDGs「気候変動」「プラスチック問題」「食品ロス」など)

気候変動・資源循環に関する課題は、現代社会におけるグローバルかつ地域に根ざしたテーマであり、生徒の関心を引きやすく、探究の展開も豊富です。マイナビキャリア甲子園含め高校生向けのコンテストのテーマでも、気候変動や水資源、エシカル消費を含む環境分野はよく扱われるテーマです。

たとえば「校内や地域での食品ロスを減らすには?」という問いを起点に、食堂の残飯分析、近隣スーパーや商店との連携、家庭や地域住民への聞き取り調査などを通じて、実践的な提言やプロジェクトを構築できます。また、プラスチックごみやリサイクルについて調査し、驚きの実態を可視化することで、解決に向けたシンプルな提案(使い捨て容器の代替案や啓発活動など)まで着地させることも可能です。

教員の支援ポイントとしては、データの集めやすさと地域との接点を重視して、「調査しやすい問い」「地域の協力が得やすい設定」「成果の見える化」の3点を意識すると、生徒の主体性と継続性を高めやすくなります。

地域文化・過疎化・高齢化がもたらす伝統の継承と地域づくり

地方の伝統文化の継承、地域過疎化、高齢化などは、地域課題として多くの高校で探究テーマに選ばれており、成果が出た事例も多く報告されています。特に伝統工芸や祭りの存続、高齢者の見守り支援などは、地域と主体的につながりやすく、探究学習の効果が見えやすいテーマです。

具体的には、地域の伝統行事へのインタビューや記録活動を通じて、「若者が伝統をどう受け止め、どう発信できるか」という問いを立て、SNSや動画、3DスキャンなどのICT技術を取り入れた成果発表までつなげる取り組みが注目されています。地域住民や職人と協働できる機会をプランに組み込むことで、生徒の主体性や実社会との関係性が強まります。

先生としては、地域のキーパーソンや自治体、NPOと事前に連携しておくと、生徒が課題設定や取材をスムーズに進められる環境が整い、探究全体の質を高められます。

多様性と共生:性・ジェンダー・LGBTQ+/外国籍児童の就学支援/格差・貧困

社会の中で進行している多様性・共生の課題も、生徒が探究を通じて感じられるテーマです。特に、ジェンダー格差やLGBTQ+への理解、不就学外国籍児童や経済的貧困層に関する課題は、日本社会でもいまだ解決の途上にあり、高校生にとって身近でありながら学びの深さがあるテーマです。

例えば、日本における性別不平等(政治や職場、教育の場での男女格差)や、LGBTQ+に対する理解や差別の実態について、生徒自身の視点とデータから問いを立てることができます。また、外国籍児童の不就学問題も、浜松市など自治体が実践する支援モデルから学び、学校としてできる支援や提案を考える探究にもつながります。

Z世代と呼ばれる若い世代はジェンダーについての考え方、捉え方が大人世代とまるで違うことも多いので注意が必要です。

教員としては、センシティブな内容を扱うため、事前に校内外の専門家(相談機関、NPO、保護者団体など)と連携し、倫理的配慮と適切なフォローアップ体制を整えておくことが重要です。また、生徒が安心して話せる場を設け、客観的データ+生徒の疑問の両方を尊重する探究設計が求められます。


まとめ(結び)

以上、先生方におすすめしたい高校生が探究学習で取り組みやすく、社会的意義が深い3つの課題(環境/地域文化・高齢化/多様性と共生)をご紹介しました。いずれも、生徒の「興味・関心」×「地域や社会との接点」×「問い立ての深さ」という探究の三位一体を実現しやすく、授業設計のヒントになるテーマです。

教員としては、**事前準備(データ・地域・連携先)探究プロセス(問いの設定/伴走的サポート)の両輪を整えることで、生徒の主体的な学びと発表までの流れがスムーズになり、総合的な探究の時間の目的を達成しやすくなります。

生徒たちが社会とつながり、その学びが“自分ごと”になる探究授業を設計すれば、高校生活の充実と進路・キャリア形成にもつながる素晴らしい機会となるでしょう。先生方のご授業でのご活用を願っています。

     

執筆者:Strobolights