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アクティブラーニングにおけるディスカッションの進め方

更新日:2024/03/29

「ディスカッション授業が盛り上がらない……」
「よくわからないままディスカッションをしているけど、合っているのかわからない」

児童生徒が能動的に活動できるアクティブラーニングの一環として、ディスカッションの導入を目指す先生は多いです。思ったより成果が上がらず、苦戦している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、アクティブラーニングにおけるディスカッションの進め方を解説します。話し合いを活性化させたい方の参考になれば幸いです。

アクティブラーニングのねらい

文部科学省は、アクティブラーニングを以下のように定義しています。

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

文部科学省 用語集 (mext.go.jp)

情報化・グローバル化が進んだ現代を生き抜くためには、自分たちで試行錯誤しながら問題解決する力が求められています。「生きる力」を育むためには、受け身的な講義形式の授業だけでなく、児童生徒が能動的に取り組める授業を合わせて行う必要があります。

アクティブラーニングによって期待できる効果(一例)

  • 自ら自ら進んで学習する力
  • コミュケーション能力
  • 課題を見つけ、課題を解決する力

アクティブラーニングの方法(一例)

  • ディスカッション…与えられた課題についてグループで討論し、結論を導き出す
  • ディベート…与えられたテーマについて「賛成か反対か」を議論し、第三者が論理性や説得力を加味して判断する
  • グループワーク…あるテーマについてグループで意見を出し合い、プレゼンや制作物などの形でアウトプットする

ディスカッションを行うことで、自分の意見を正しく伝えて説得するための論理的思考力が鍛えられます。また、他者の意見を引き出し、良好な話し合い活動につなげるコミュニケーション能力も養われるでしょう。

ディスカッション授業のポイント

活発なディスカッション授業を行うためには、いくつかのポイントをおさえる必要があります。

議論しやすいテーマ選定

児童生徒が意見を出しやすいテーマであれば、さまざまな角度から議論が進んで活発な討論が行われます。児童生徒の実態や地域性を踏まえながら、興味がわきやすいテーマや身近に感じられるテーマを選定しましょう

制限時間を設定する

タイムスケジュールが明確であれば、意見のまとめに入る時間を逆算できるため、討論内容の意見集約ができるようになります。また、時間を守る意識をつけさせることで、話し合いの脱線を防ぎやすくなり、時間配分を考える力も備わります。

発言しやすい場を作る

全員が気兼ねなく発言できるような雰囲気づくりが大切です。「間違ったことを言っても大丈夫」「まずはお互いの意見を受け入れよう」といった空気感を、少しずつ作り上げていきましょう
討論の前に、ちょっとしたアイスブレイクを用いるのも1つの手です。最近嬉しかったことを紹介し合ったり、ちょっとしたミニゲームを取り入れたりしながら、お互いを受け入れられる居心地のよい空間作りを目指してください。

ディスカッションを行う場合の注意点

大きな学習効果のあるディスカッション授業ですが、運営においてはしばしば課題になることがあります。頻出する課題をご紹介しますので参考にしてみてください。

議論が盛り上がらない

この状態はそもそもディスカッションを行う意味や効果が見込まれないので、改善したい症状です。議論が盛り上がらない要因はさまざまですが、主な理由は下記のとおりです。

  1. リーダー(司会)がいない or 機能していない
  2. 参加生徒がディスカッションに慣れていない
  3. 参加者が他人任せになっており、主体的に参加しようとしていない

このうち、2と3については前述した「発言しやすい場を作る」ことをまずは行いましょう。ディスカッションに入る前に、アイスブレイクのゲームを行っても良いでしょう。

意見がまとまらない

色々意見は出ているものの、そのまとめ方に苦慮するケースがあります。時間切れで多数決で決まったり、声の大きなメンバーの意見が採用されたり、といったケースがありますが、できれば参加者が話し合った末に合意した内容でまとめていきたいものです。

この場合は「決め方」を話し合いをさせましょう。グループで何を重視したいかを定め、重視したい項目を踏まえて出てきた意見を評価するのです。例えば

  • 効果があるかどうか
  • 実現可能性があるかどうか
  • 他にはない斬新な意見かどうか

などがあるでしょう。自分たちが何を大切にしたいかを決めた上で意見を集約して行きましょう。

まとめ

ディスカッション授業を活発にするには、テーマ選定やタイムスケジュール設定、発言しやすい雰囲気づくりが大切です。また、話し合いが活発化する質問を考えさせたり、別のグループでもディスカッションを行ったりすることで、より深い学びにつながります。

ディスカッションによって、主体的に学習する力や論理的思考力、コミュニケーション能力などが磨かれます。ディスカッションを活用して、困難な現代を生き抜くための力を伸ばしてあげてください。

     

執筆者:Strobolights